一人法人の社長でもある川島和秀の日々の活動記録です。

不動産オーナは一度賃貸にだすと実質的に自分の土地・建物ではなくなる現実~恐ろしい借地借家法~

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借地借家法は、土地・家を借りる人を社会的弱者とし、土地・家を貸す人を社会的強者としています。

 

土地・家を貸す、いわゆる不動産オーナーが借金漬けで事実上火の車であったとしても、社会的強者とされます。

 

一方で、土地・家を借りる人は社会的弱者(国がなんとかして守ってあげる存在)としています。

 

生活の基盤たる住居を居住して少し経過してから、貸主から立ち退け!と言われた大変です。

 

そのため、原則、土地・家を借りる人は、借地借家法によって、よっぽどのことがない限り、契約内容に関係なくずっと借り続けていいよ!となっています。

 

借地借家法は水戸黄門の印籠みたいなもので、「この紋所が目に入らんか!頭が高い!控えろ!」と掲げられると「ハハー」とひれ伏せなければなりません。

 

つまりは社会的弱者とされる借り手に水戸黄門の印籠(借地借家法)が渡されて、困ったら使っていいよ!となっている状態というわけです。

 

この借地借家法を逆手にとって、悪用したのがサブリース会社です。

 

サブリース会社自体は社会的には強者ですが、サブリース会社が貸す先は一般庶民であるため、間接的にサブリース会社にも借地借家法が適用されるようになっているのだと思います。

 

例えば20年間、1室あたり10万円で借りることを保証しますと家賃保証をして不動産オーナーと契約しても、5年~10年経過したら、やっぱり1室7万にしますという契約を反故する行為が横行し、社会問題化しました。

 

そんなことがまかり通るのか?というとまかり通るわけです。

 

借地借家法で、よっぽどのことがない限り借り続けて良いというされているからです。

 

家賃保証している額を契約違反して減額にしても、裁判所の判例では「家賃の減額はよっぽどのこととは認めない」とされ、不動産オーナーが負けてるケースがほとんどのようです。

 

まさに水戸黄門の印籠です。

 

それを受けて「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が令和2年公布されました。

 

これにより、誇大広告の禁止が明記され、あらかじめ決めた家賃を減額するような行為には刑罰が下されるようになりました。

 

水戸黄門の印籠の効果は依然としてあるものの、なんでもかんでも印籠を振りかざしたら罰するよ!という法律が新たにできたわけです。

 

つまりは借地借家法では借主は以前として保護されるが、一方で賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律では刑罰を下すことが可能になったということです。

 

話は脱線しましたが、現状は借地借家法が強力のため、一度、賃貸に不動産をだすと、借主が契約を解除しない限り、ほぼ永久に貸さなければならない状況になっています。

 

この点をご説明します。

 

賃貸借契約の更新は①合意更新と②法定更新がある

 

不動産の賃貸契約をし、決められた契約期間が終了するときに、更新するか?契約を解除するか?の選択を求められます。

 

貸主と借主が合意した場合は合意更新

 

名前の通りですが、貸主と借主が合意して、契約を更新しようとした場合は、合意更新になります。

 

この点は、お互いに了解しているので、まったく問題ないと思います。

 

問題は法定更新の方です。

 

貸主が契約を辞めたくても契約が延長される法定更新

 

最初にした契約期間が満了を迎える場合は、借主または貸主が期間満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の通知をしなればなりません。

 

 

 

これがされない場合はどうなるか?というと自動更新されます。

 

しかも期間の定めのない契約をして自動更新されてしまいます。

 

期間の定めのない契約になると借主が住みたいかぎり永遠に住めるわけです。

 

不動産オーナー(貸主)から更新を拒絶する場合は、正当事由が必要になりますが、原則、この正当事由は認めらないことがほとんどのようです。

 

正当事由とは以下を考慮して検討するとされています。

 

出典:賃貸不動産経営管理士の教科書

 

 

さらに契約満了後にも、引き続き、借主が物件を継続して使用していた場合は自動的に更新されるともなっています。

 

借主が遅滞なく正当事由のある異議を述べれば更新されずに済むようですが、これが上記で説明したように、事実上認められないことがほとんどのようです。

 

イメージだと↓です。

 

出典:賃貸不動産経営管理士の教科書

 

つまりは一度、不動産オーナー(貸主)が不動産を賃貸すると、相手(借主)が返すというまで、貸しつづけなればならないとなっているのが借地借家法です。

 

不動産でも家を貸す場合は、比較的にこういうトラブルになりにくいですが、土地を貸す場合は注意が必要です。

 

通常、土地には建物を建てます。建物を建てたら、そう簡単に取り壊して使用を辞めるということはしないでしょう。

 

つまりは、自分の土地でありながら、下手すると一生、貸したまま何もすることができない可能性がでてきます。

 

対抗策は定期建物賃貸契約!

 

対抗策としては、定期建物賃貸借契約をすることです。

 

契約時に定期であることを明示した契約書を別途作成する必要がありますが、上記にあげたような自動更新の波状攻撃を避け、期間の満了で契約を終わらせることができます。

 

サブリースで問題になった家賃についても、減額も減額を認めない特約を盛り込むことも定期建物賃貸借契約なら可能になっています。

 

定期建物賃貸借契約は、上記で説明してきた長期化する一般の賃貸借契約の問題点を改善するためにできた制度になっています。

 

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