一人法人の社長でもある川島和秀の日々の活動記録です。

行政書士の独立開業に過度な期待を持つべからず。サラリーマンは意外に強い(恵まれている)。

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↑意外に強いサラリーマン

 

この記事作成時は2024.1.14です。もう少しで2024.1.31となり行政書士試験の合格発表があります。

 

合格した場合は、一定数の人は開業を視野に入れて動き出すでしょう。

 

自分がサラリーマンであり、行政書士試験合格をきっかけに独立に踏み切ろうと思っている場合には、過度な独立開業に期待を持たないほうが良いでしょう。

 

サラリーマンでいるうちは、独立開業に強いあこがれを持ちます。

特に勤めている会社に不満がある場合は、不満を感じるたびに「独立してやるぅぅ。独立すれば・・」と思う気持ちが強くなる傾向があります。

 

その思いが強くなりすぎると、「独立開業=理想郷(幸せの地)」みたいな過度な幻想をいだくようになりえます

が、一部の人を除いて、通常はそんなことはなく、雨も滅多に降らない荒れはてた荒野で農業をするようなもので簡単ではありません。

 

※かならずしも荒れた荒野ではありませんが、わかりやすいように極端なイメージにしています。

 

ちょっと極端ですが、荒れ地を耕す覚悟と一定の運がないと、おそらく、サラリーマンのほうが金銭面ではよかったという結果になるでしょう。

 

先に独立開業した先人たちを観察してみましょう。

「自由」「精神的に楽」を強調する人が多いことに気が付くと思えます。

それは暗に金銭的にはサラリーマンの方がよかったということでもあります。

 

一般的に訪れるであろう開業するとおきてくることと、サラリーマンだったらを比較してご紹介したいと思います。

 

独立開業を否定しているわけではありません。

独立開業=理想の地みたいに考えていると、思っていたのと違うとなりやすいので注意をしてください。

 

私は行政書士としての開業は2024.1時点では約10か月ですが、法人は2017.10月に設立しており、6年超、経営しています。それを踏まえての考えになります。

 

前提:行政書士開業前での実務経験が極めて積みにくい

 

行政書士に限らず、開業や起業では通常は集客がネックになる傾向です。

が行政書士の場合は、それに加えて、実務経験が積めないという超特殊事情が絡んできます

 

たぶん、こういう業界はかなり特殊と思えます。

通常は、前職等で何らかの経験を積んで自信がついて、独立する場合が多いでしょう。

 

行政書士の場合は、実務的にド素人のまま、ド素人状態で開業をせざるをえないという超特殊業界です。

普通の起業・独立よりも難易度が相応に高くなることをまずは理解しておかねばなりません。

 

それを前提として、ある程度、対策ができたとしても、これから例示するような面倒なことが開業後にはおきてきます。

 

社会的な信用が「ほぼ0」になって大変

 

まずは社会的な信用が「ほぼ0」になります。

 

具体的には、家や車のローンを組むことができなくなるでしょう。

もっと身近にすると、クレジットカードすら作れなくなる可能性があります。

 

ここでたぶん「え?」と思うのではないでしょうか?

一般的にサラリーマンよりも会社の社長や士業の代表の方が社会的ステータスが上のように思っている人が多いように思います。

 

が、実社会は違います。

一部の有名な会社の社長や代表なら例外かもしれませんが、通常はサラリーマンの方が社会的な信用があり、ステータスは上です。

 

なぜならば、サラリーマンは定期にかならず給料が支払われるという給料債権をもっているからです。

取引の相手としては、これほど心強いものはありません。

 

一方で社長や代表は見かけは派手であっても、実は借金まみれで1か月後にいきなり支払いができなくなるかもしれません。

よくわからないために、取引の相手としては、確実性に欠けリスクが高いわけです。

 

というわけで実社会では、社長や代表という肩書は極めて弱く信用度としては「0」に近いわけです。

体感としては、ソコソコ金をもっていても、かなり無下に対応されることになると思います。

 

開業して、半年もして、色々な人と接していると、その事実に気が付くことになるでしょう。

そこで、「あれ?思っていたよりも社長とか代表ってすごくないかも」と思うことになりえます。

 

 

税金負担が重く感じて大変

 

サラリーマンであれば、税金を気にしないでしょう。

給料=手取りみたいに考えている人が多いと思います。税金は源泉徴収されて、すでに引かれた状態なため税金を負担している実感もないでしょう。

 

が事業者になると、もろに税金を手出しで払うために負担が目に見えるようになります。

 

まずは収入である売上にはインボイス事業者である前提にたつと、消費税が発生して後日納めることになります。

所得税や住民税も同様です。後から払うことになります。

 

サラリーマンの感覚でいうと、手取りの給料をもらったあとに、あとから税金の請求がゴッソリ来るイメージです。

 

ここで税金を考慮せずに、入った金額で利益を計算していると、大きな見込み違いになりえます。

特に住民税は、1年遅れで請求がくるために、開業して収入がなくても、容赦なく税金の請求がきます。

 

 

営業・経理・総務・経営をすべてやることになって大変

 

サラリーマンの時は分業制です。

営業なら営業だけ、経理なら経理だけ、総務なら総務だけをやっているだけでよかったはずです。

 

が独立開業した場合は、人を雇う以外は基本全部自分でやる必要があります。

営業して仕事を受注するだけではありません。

帳簿に記帳をして、見積書・請求書・領収書等を作成し送付する作業も発生します。

 

営業は得意でも、細かい事務作業は苦手な人もいるかもしれませんが、人を雇う以外は全部自分でやらねばなりません。

 

ようは稼ぎに繋がらないけど、必要な地味な裏方の業務も、相応の時間を割いて自分でやっていくことになります。

 

なかなか面倒で大変なことだと思います。

 

全責任の負うことになって大変

 

もっとも大きな違いは、ミスったときの責任でしょう。

サラリーマンであったときは、自分のミスで顧客に損害を与えたときであっても、通常は会社が責任を引き受けてくれます。

 

が独立開業しているなら、ミスったときは全責任を自分が背負うことになります。

 

このことを軽く考えて、よくわかっていないのに、「できます!」といって受注していると、どっかで数千万級の損害賠償を食らうこともでてくるでしょう。

 

発生確率が少ないために、意識していない人もいるかもしれませんが、この点はしっかり肝に銘じておく必要があると思えます。

 

 

※サラリーマンで意外に強い(恵まれている)

 

以上の踏まえると、独立開業というのはまあまあ大変で、サラリーマンは意外に強い(恵まれている)とも考えることができると思います。

 

仕事をやろうが手を抜いてやらなくても、定期に確実にお金が入ってくることが約束されており、ミスっても責任は会社になります。

 

税金も社会保障費は半分は会社が負担してくれて、企業によっては退職金までくれます。

休んでいても有給休暇でお金が入ってきます。

 

理不尽なことがあっても、これらの対価と思えば、そんなに高いものでもなく、むしろ割安のような気さえします。

 

この辺りは、実際に自分で独立開業してみると、おそらくそういう感じる人も一定数出てくると思います。

 

いや!俺は開業して1発当ててやると思う人もいると思います。

 

が、独立開業もうまく軌道に乗せることができれば良いかもしれませんが、なかなか簡単ではありません。

軌道に乗ったと思っても、世の中や環境が変わると一変するときもあります。

油断しているとすぐに稼げなる場合もあります。

 

サラリーマンでも、会社とうまく折り合いをつけることができたら、おそらく独立開業している社長や代表よりも金銭的にも社会的な信用も上になっていると私は思っています。

 

独立開業を否定しているわけではありません。

独立開業=理想の地みたいに考えていると、思っていたのと違うとなりやすいよということをご紹介させていただきました。

 

だからといって、サラリーマンをやるつもりは私にはありませんが、物は考えようで、勤めている会社でプライドを捨てて、徹底的にぶら下がるというのも一つの手と思います。

 

そのほうが、多くの人にとって、お金も精神的な安定も時間もある生活ができる可能性が高いように思えます。

 

とは言っても、行政書士試験に合格したら開業をすると思います。開業して数年経ったら、おそらくこの記事に書いてあることを思うはずです。

 

※あくまで私はそう思っているという私見です。

 

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