日本に空き家が増え続ける理由とは?
2022年9月時点で日本に空き家が増えています。
H30年の「住宅・土地統計調査」によると
空き家の数 850万戸(内、賃貸物件430万戸)
要は日本に存在する賃貸物件の20%が空き家ということです。
そしてこれは年々増加しています。5年前の調査から約30万戸(約3.6%)上昇しています。
では家が供給過剰で作られていないのか?というとそうでもありません。
新規の住宅着工件数は昨年比伸びています。
出典:大和ハウス・土地活用ラボ
賃貸物件も新規でドンドン作られています。
出典:大和ハウス・土地活用ラボ
空き家が年々増加して社会問題化しているにもかかわらず、その一方でガツガツと新規の物件が供給され、空き家になることに拍車をかけている現状があります。
少子化にもかかわらず、家がガツガツ増えていく現状に違和感しか感じないですが、おそらくは家を建て方が税制的にメリットが大きくなるように設計されているのだと思います。
空き家が増える理由は空き家のままで放置することがコスト的に最も有効な手段だからと思います。
本来は、人が住む生活基盤が住宅なので、住むのに維持コストがかからないように税制が優遇されています。
その税制が制度疲労を起こしていて、時代にあっていないが、修正できていなく、結果として空き家を増やすことに寄与しているのだと思えます。
空き家所有者があえて空き家のままで放置するメリットは以下です。
目次
空き家は壊して更地にするよりもそのままの方が固定資産税が安い
空き家というか住宅が建っている土地は固定資産税が優遇されています。
ざっくり言って、固定資産税が1/6に軽減される特典があります。
通常なら住まなくなり、賃貸にも難しい場合は、空き家を取り壊し更地にするのが通常です。
が当たりまえですが、空き家を壊して更地にするには解体費用がかかります。
加えて固定資産税が6倍に、はね上がる可能性があるわけです。
だったら空き家のままでよくねえ?となるのは当然です。
次に土地を売買する不動産会社においても、空き家を積極的に売買しようというメリットがない説明をします。
不動産屋に空き家を積極的に売買するメリットがない
空き家所有者の依頼で不動産会社が空き家を売買を頼んでも不動産会社は積極的に売買をしません。
なぜならば手数料が安いからです。
ざっくり言って不動会社は売買金額の3%を手数料としてもらうようになっています。
賃貸することも難しい空き家が高額で取引されることはまずありません。せいぜい100万~300万と思われます。(個人的な勝手な予想)
となると300万の空き家を売買しても9万しか不動産会社に入りません。
加えて、売買に当たり、何度も現地確認をしたり、詳細の問い合わせがあったり、購入後の不具合であったりと手間が恐ろしくかかることが予想されます。
それなら不動産会社なら家賃10万の築浅賃貸マンションを案内して、礼金をもらった方がコスパがいいと考えると思います。
ゆえに、空き家を流通される一翼を担うべき不動産会社が積極的にやりたがらないという現状があり、空き家は空き家のままになりやすくなっています。
※増えるべくして空き家は増えている
以上を踏まえると、空き家の所有者、空き家を流通させる不動産会社がともに、空き家を空き家のまま放置した方がメリットのある法律・制限になっていることがわかります。
近年になって、やっと空き家と認定された場合は、固定資産税の減額特例が適用できないようになったようですが、そのまま放置されている空き家が多いことから実際にはあまり適用されていないように思えます。
空き家のまま放置した方がメリットがあるのなら、これからもしばらくは空き家は増え続けることになって当然というか自然の流れです。
空き家が問題というよりも、むしろ政府が積極的に空き家を増やす方向に誘導しており、その誘導通りに空き家が増えているのが現状と言えます。
ハウスメーカーに反対され、空き家対策の法律はたぶん頓挫する
本来なら、空き家で放置すれば大増税するなどの法律を作れば良いと思いますが、たぶん無理と思われます。
少子化でもガンガン家を建てまくるハウスメーカーの強烈な反対にあうと思われるからです。
冒頭でデータを掲載したように、日本では家が建ちまくっています。
その理由は家を建てることによる固定資産税・相続税を安くなるメリットがあると予想できます。
が、それが結局、空き家になれば大増税みたいになれば、家を建てる人が激減することになると思われます。
そんなことはハウスメーカーが許さないでしょう。
というわけで、本格的な空き家対策に対する法律の制定は基本無理だろうと直感的に思います。
ゆえに社会問題化されても、しばらくは長期で空き家は増え続ける流れが継続すると予想することができます。