一人法人の社長でもある川島和秀の日々の活動記録です。

サブリース契約は江戸時代の日米修好通商条約(不平等条約)みたいなもの!?

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※すべてのサブリース契約がそうだというわけではありませんが、一部のサブリース契約が著しくオーナーにとって不平等になっている現状があり、社会問題化しています。

 

江戸時代の日米修好通商条約は黒船にのったペリー来航で鎖国をこじあけたアメリカが日本と結んだ不平等条約です。

 

↑黒船のイメージ

 

貿易はするが、関税の決定権はアメリカにあり、日本はいいようにやられた条約です。

 

私の印象だとサブリース契約はこの日米修好通商条約に似ていると思っています。(不動産オーナーが日本)

 

※R2~R3に施行された賃貸住宅管理業法が制定される前に契約された物件の場合の話です。2022年12月現在だと、違反で罰することが可能です。

 

賃貸不動産のサブリース契約はパッと見は良い契約に見えます。

 

・家賃〇〇円を保証する

・〇〇年一括借り上げ

 

ということが契約書に明記されるのがストロングポイント(利点)です。

 

さらにカラクリがあり、家賃保証をし、〇〇年借り上げるから、割高だけど弊社に建物を建てて下さいときます。

 

通常、オーナーはそれでも家賃保証されて、〇〇年借り上げてくれるなら割高でも構わないと快諾します。

 

が、実際は数年経過すると家賃の減額が開始され、限界まで家賃が下げ続けることが起きています。

 

オーナーとしては割高に建物を建てたのに、家賃も少ないという踏んだり蹴ったりになってしまいます。

 

が、実際に建物を建ててしまった後では、オーナー側に何もできません。

 

借りてもらわないよりは安くても借りてもらった方が得ということで、どんな悪条件であっても、飲まざるを得ません。

 

そんなことで詐欺じゃないか?と思うかもしれません。

 

実際に、裁判に発展するケースもあります。

 

が、実際は、まさかの高確率でオーナー側が敗訴します。

 

なぜならば、借地借家法32条1項に契約条件にかかわらず家賃の減額はできると明記されているからです。

 

 

家賃保証を反故にできる借地借家法32条1項

 

借地借家法32条1項は以下です。

 

不動産オーナーなら知っておかないといけない条文です。知っとかないと後で痛恨の一撃を食らってしまうことになりかねないものです。

 

借地借家法32条1項

建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う

 

サブリース会社が家賃保証を契約書に明記しているにもかかわず、家賃が減額できる理由がこの借地借家法32条1項です。

 

契約の条件にかかわらず、家賃が減額を請求することができるとされています。

 

この条文は超強力で基本ひっくりかえすことはできません。

 

本来は借地借家法はこのようなサブリース会社を保護するものではありません。

 

生活の基盤たる住居をオーナー都合で退去や高額の賃料を請求されるようなことがあってはならないというある意味弱者救済の法律です。

 

これを逆手にとって、事業用でやっているのがサブリース業者の一部にいるというわけです。

 

契約期間があっても申し入れから3か月で解約可能(民法617条①618条)

 

加えて、〇〇年借り上げとなっていても、その期間以前にサブリース業者の方が解約してくる可能性も0ではありません。

 

サブリース契約が増えてからは建てた建物で築古になることはありませんが、もう5年~10年し、築古になり入居者が入りにくくなった場合は、満了年数を待たずに解約してくるリスクも考慮しておかねばなりません。

 

かならず解約してくるというわけではありませんが、可能性が0ではありません。

 

根拠法令は民法617条①と民法の618条です。

 

民法の617条①と民法618条はセットです。

 

民法の617条①では賃貸借の期間の定めがない場合を規定します。(通常サブリースは期間はあるので次の民法618条を適用)

 

民法617条①

当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。

 

二 建物の賃貸借 3箇月

 

 

要は、解約を申し込んで3か月経過すれば解約が成立するわけです。

 

下記が、民法618条で期間がある場合についてです。617条を適用(≒準用)すると書かれています。

 

民法618条

当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。

 

 

解約する権利を留保したときは(解約の権利があるときは)という条件がついていますが、おそらく、契約書のどっかに解約する権利の留保が書かれてる可能性が高いと思えます。

 

そういう意味では契約期間の後半では解約される問題も社会問題化してくるのではないか?と私は個人的に予想しています。

 

なければ良いですが、ないと想定していて途中解約された場合のダメージが計り知れないため、心構えとして解約があるかもしれないと想定しておくことはリスク管理として有効と思えます。

 

 

※いいようにやられないように不動産について各種法令を勉強し理論武装すべし

 

 

サブリース会社は法律で攻めてきます。

 

ゆえにオーナー側も最低限、不動産に関する法律(民法・借地借家法)を勉強しておいた方が良いと思います。

 

一昔前と違って、賃貸不動産も単純ではなくなってきていると思います。

 

単純では儲かりにくくなると、商品を複雑にしてわからないようにして、たくさん収益を取るということを営利企業はやってきます。

 

それに対応できるように日々研鑽しておく必要があると思えます。

 

加えて、長期間におよぶ不平等条約(サブリース契約)を結んでしまった以上、契約終了まで、あらゆる角度から値下げに類するが要求がくることも覚悟しておかねばなりません。

 

来るたびにイチイチ不平不満を言っても精神衛生上よくありません。

 

むしろ、「ハイ!また来たね」というくらい大きく構えておきたいものです。

 

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